個別化医療とは

 個別化医療(personalized medicine)とは、一般的にテーラーメード医療(tailor-made medicine)といわれる『一人ひとりの個性にかなった医療を行うこと』です。
 これまで医療は疾患中心であり、疾患の原因を探索したりその治療法を開発することが主な目的でしたが、疾患の状態は一人ひとりで千差万別、同じ病気であっても同じ治療法を適用することが必ずしも正しくないことは以前より知られてきました。 しかし一方でそのような治療効果の個人差は治療とその効果を観察しなければ分からないものであり、一人ひとりに最適な治療計画を行うことは難しい状況でした。
 一方、ヒトゲノム計画によるDNA塩基配列の解読技術は、今後の医療を大きく変革することになります。DNAマイクロアレイや次世代型シークエンサーなどによる大量の遺伝情報を瞬時に取得できる技術の開発によって、ある個人が他人とどのように異なるか、ある種族が他の種族とどのように異なるかを観察できるようになってきました。
 ヒトの体は、およそ60兆個細胞からなり、その細胞一個一個にヒトのほとんどすべての遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)があります。DNAは23本の染色体に分配され、その基本単位をゲノムと呼びますが、ヒトゲノムは、DNAを構成する4種類の塩基の数にして、およそ30億この長さがあります。多くの場合、この塩基の1つが欠けたり、他の塩基と置き換わることにより、個体差・種族差が生じると考えられ、これを一塩基変異多型(SNP)と呼ばれています。SNPは、数百塩基に一ヶ所の割合で存在するといわれ、これらが個人の体質・特徴を決定していると考えられています。
 こうした遺伝子の少しの違いを研究することで、病気の発生率や発生しやすい体質、個人の体質に合わせたより良い治療法や薬剤の適切な選択、医薬品の開発が可能になると考えています。これが、まさしく“集団(標準)”から“個”への個別化と呼ばれる理由です。

金沢先進医学センターの個別化医療

 金沢先進医学センターでは、これらの情報を利用して、ある患者個人に最適な治療方法を計画すること、すなわち『個別化医療(personalized medicine)』を実践してく場としての環境を整備しています。
 実際に治療の提供を開始し、次世代のがん治療法として期待が大きい『がん免疫細胞療法』もそのひとつです。副作用が少ない「やさしい治療」として急速に普及が進んでいますが、臨床研究データがまだまだ不足している段階にあります。金沢大学大学院医学系研究科をはじめとした実績ある専門機関との連携により、有効性と安全性の裏付けを確立するための治療と研究を並行して進め、新しい医療の提供を目指しています。
 また、間もなくスタートする『プレミアムドック(高次人間ドック)』においても、一人ひとりに応じた高い次元の検査機能に加えて、当ドックの本来の目的でもある<治療から予防へ> という次世代医療の大きなテーマに対応していくため、金沢先進医学センターが行う遺伝子レベルの研究による個別的な医療情報および遺伝的な情報に基づく疾患や薬効、副作用の情報基盤づくりが進められ、「予防医学」の実現に大きく貢献していくことでしょう。




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